精神科を受診するタイミング・目安とは?受診の判断基準を公認心理師が解説!

疲れている人たち

「精神科受診するタイミングがわからない」
「こんな症状で受診してもいいのかな?」
「普通に生活できるけど、なんとなく気になる症状があって受診を迷っている」

 など、精神科や心療内科を受診するハードルは高く感じられることが多いものです。
 身体の症状とは違い、精神科の症状は目に見えず「気のせいかも?」と思いがち。受診のタイミングもいまいちわかりにくいですよね。
 この記事では、精神科勤務経験のある心理師が精神科を受診する目安についてわかりやすく解説します。

目次

精神科と心療内科の違い

そもそも、精神科心療内科ってどう違うの?

精神科心療内科は混同されやすいですが、主に以下のような違いがあります。

  • 精神科:気分障害、不安障害、発達障害、統合失調症などの心の病気を専門的に診る。
  • 心療内科:ストレスが原因と思われる身体症状を主に診る。

どちらを受診するか迷ったら、以下の方法で判断することをおすすめします。

  • 精神面の症状(憂うつ、イライラ、不安等)が気になる場合は精神科を受診しましょう。
  • 精神症状よりも身体面の症状(頭痛、腹痛、動悸、めまい等)が気になり、思い当たるストレス等がある場合は心療内科を受診しましょう。

 「精神科を受診したら体の不調を見逃されるのでは?」と心配になるかもしれません。しかし一般的には、精神科でも心療内科でも、血液・尿検査等を実施して症状の原因となる身体的な異常がないかを確認する場合が多いです。もし不安な点がある場合は、積極的に医師に尋ねてみましょう。

精神科受診を検討すべき症状・サイン

意欲・集中力の低下

  • 何事にも興味が持てなくなった
  • 仕事や学業への意欲がわかなくなった
  • 集中力が低下して作業中のミスが増えた
  • 気がつけばぼんやりと考え事をしている

 これらの症状が見られる場合は、ストレスや疲労が蓄積して脳や体のエネルギーが低下していたり、抑うつ状態に陥っている可能性もあります。精神科で自身の状態を客観的に診てもらうことで、負担軽減のためにどのように生活を改善すると良いかわかるだけでなく、症状に合わせて適切な治療を受けることができます。
 また、「精神科受診には抵抗があるけど自分で症状を緩和したい」という方は、相談室LITERASのメンタルヘルス相談をぜひご利用ください。

不安感・焦燥感

  • 特定の場面で過度な不安を感じる
  • 不安に伴う動悸、息苦しさ、手足の震え
  • 不安が原因で外出や対人関係が困難になる
  • 理由もなくソワソワして落ち着かない
  • 誰かから見られたり責められていると感じる

 これらの症状がある場合、不安障害やパニック障害、強迫性障害などの可能性があるだけでなく、放置することでますます症状が悪化し、日常生活が困難になる場合もあるため注意が必要です。
 不安症状に対しては、薬物療法認知行動療法(カウンセリング)が有効とされています。ちなみに筆者は心理師として精神科で勤務していましたが、不安感自体は最もよく見られる精神症状の一つであり、適切な治療を早期に受けることで比較的改善が見られやすい症状でもあります。当相談室でも認知行動療法をオンラインで提供しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

感情・行動のコントロールが難しい

  • イライラや怒りが止められない
  • 気分がずっと落ち込んでいる
  • ジェットコースターのように感情が変化する
  • よくないとわかっている習慣がやめられない

 このように感情のアップダウンが激しかったり、自力ではやめられない習慣が続いている場合、人間関係や社会生活に悪影響が出るだけでなく、「どうして自分はこうなんだろう」と自己嫌悪に陥りやすいものです。自分でもどうにかしたいのに周囲からの理解が得られず、ますますメンタルが悪化してから受診するというパターンが精神科の現場では非常に多く見られます。どうか一人で抱え込まず、専門家に頼ってください。
 こうした症状の原因として、環境によるストレス、個人の性格・発達特性・考え方による影響を受けている場合もあれば、器質的異常や何らかの疾患が原因で感情のコントロールが困難になっている可能性もあります。いずれの場合も、精神科では総合的にお話を伺って症状の原因や背景を探り、患者さんと専門家が一緒に問題解決に取り組みます。

食欲や体重の変化/拒食・過食

  • 最近食欲がわかない
  • 食べすぎる
  • 過食嘔吐/拒食
  • 体重が急激に減っている

 このような食欲や体重の急激な変化による心身への負担は大きいです。十分な栄養が取れないと脳も十分に働かず、気分状態の悪化や集中力の低下が起こりやすくなります。また、心肺機能が低下したり、女性の場合は月経が止まるなどの事態にもなりかねません。食べ過ぎに関しては生活習慣病の原因となることもあるほか、身体の異常が原因で食欲のコントロールが困難になっている可能性もあります。いずれの場合も、早めに受診して身体に異常がないか診てもらう必要があります。
 摂食障害に関しては、専門治療を提供している医療機関とそうでない医療機関がありますので、事前に電話等で確認してから受診するようにしましょう。摂食障害が疑われる場合は本人が受診に消極的なこともありますが、筆者の臨床経験上、受診時に「低体重のため早急な入院が必要」と判断されるケースは少なくありません。ですからまずはご家族だけでも医師に相談するようにしてください。
 また、児童思春期の拒食症に対しては、本人・家族(保護者)・カウンセラーが協働的に治療に取り組むカウンセリングが効果的とされています。当相談室でもご相談いただけますので、ご本人との関わり方についてお悩みの保護者の方は、ぜひ初回無料カウンセリングまたはお問い合わせフォームにてお問い合わせください。

不眠/過眠

 精神科でよく見られる睡眠障害の症状として以下のものが挙げられます。

  • 寝つきが悪い(入眠困難
  • 早くに目が覚め、もう一度眠れない(早朝覚醒
  • 夜中に何度も目が覚め、寝た気がしない(中途覚醒
  • 昼夜逆転している
  • 寝ても寝ても日中眠い(睡眠の質の低下

 自分にとって理想的な睡眠をとることは、忙しい現代人にとっては難しいことですよね。しかし、睡眠不足や睡眠リズムの乱れが長期的に続くこと(睡眠負債)によって、うつ病認知症生活習慣病など様々な疾患のリスクが高まることが明らかになっています。逆に、うつ病など他の精神疾患が原因となって睡眠の問題が生じている場合もあるため、気分状態が悪化している方は特に早めの受診をおすすめします。
 不眠症の治療には、薬物療法や認知行動療法が有効とされています。うつ病など他の疾患がある場合には、そちらの治療を優先する場合もありますので主治医と相談してみましょう。

不眠のための認知行動療法(CBI-I)では、まず睡眠の状態を確認するための日誌(睡眠日誌)をつけてもらいます。そして日誌の内容をもとに、睡眠によって良い習慣・改善すべき習慣について具体的に話し合います。
数ヶ月単位の治療期間が必要となりますが、自分で睡眠の管理ができるようになるため、治療終結後も効果が長期間続きやすいと言われています。

こんなときは早急に受診を!

症状が2週間以上続いている

 ストレスによって一時的に気分の落ち込みや不安感、イライラ、不眠等の症状が出るのは自然な反応です。しかし、症状が2週間以上良くならない場合は心身に負荷がかかりすぎたり、うつ病などの診断基準を満たす場合もあるため、我慢せず医師に相談するようにしてください。
 実際には2週間以内に精神科の初診予約が取れない場合も多いですから、その場合は当相談室のオンラインカウンセリングでご相談いただければ、初診までの心理面のサポートをさせていただきます。精神科受診までの過ごし方やストレス管理について話し合うことができますので、ぜひお気軽にご相談ください。

日常生活に支障が出ている場合

  • 職場や学校に行くのがつらい
  • 対人関係、家族関係が悪化している
  • 家事・仕事・勉強に今まで通り取り組めない
  • 外出や公共交通機関の利用が困難になった

など、日常生活に支障が生じている場合は、何らかの精神疾患の診断基準を満たす可能性があります。
すでに生活を送ることがつらくなっているということですから、早急に受診するようにしましょう。

消えたい・死にたい気持ちがある

 この場合は説明するまでもなく、早急に受診してください。
 長期間ストレスにさらされていると、どうしても悲観的になってマイナスの部分に意識が向いてしまいますよね。
 ですが、受診をすれば一緒に問題解決に向けて取り組んでくれる専門家が必ずいます。一人ではありません。
 相談窓口をいくつかご紹介しますので、お一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。

まとめ

精神症状は目には見えないので、つい受診をためらってしまいますよね。
ですが筆者は「症状が軽いうちにぜひ精神科を受診してほしい」と思います。
なぜなら精神疾患は、急に悪化することがあり、悪化すると少なからず日常生活に支障をもたらすためです。

それでも「精神科はやっぱりハードルが高い!」という方は、相談室LITERASのメンタルヘルス相談をぜひご利用ください。メンタルヘルスに関するご相談、精神科受診に関する疑問や相談を受け付けています。
初回の方は無料でカウンセリングを受けることができますので、下記リンクからご予約をお待ちしております。

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