子育てが始まってから、夫のささいな言動にイライラしてしまい、つい強い口調で当たってしまうことはありませんか。
子どもの前で喧嘩をしてしまった後、わが子の姿をみて「わたしはダメな母親だ」と自分を責めてしまっているかもしれません。
産後の急激な変化や寝不足の中でイライラしてしまうのは、決してあなたのせいではありません。
この記事では、子育て中に夫婦喧嘩が増える3つの理由と子どもへの影響、そして関係を修復するための対策を紹介します。
あなたが感じているつらさの正体を知ることで、ふたたびパートナーと協力し合える関係を築くための参考にしていただけるはずです。
子育て中に夫婦喧嘩が増える3つの主な理由
子どもが生まれてから夫婦喧嘩が増えて、関係がギクシャクしてしまうのは、おもに以下の3つの理由があります。
- 産後のこころと身体の変化
- 夫婦のコミュニケーション不足
- 「わたしばかり」と感じる負担の偏り
①産後のこころと身体の変化
出産は、女性のこころと身体に急激な変化をもたらします。
出産にともなうホルモンバランスの乱れに加え、授乳や夜泣きによる睡眠不足により、精神的に追い詰められます。そして「しっかり育てなければ」という責任感も重なり、子どもの安全を心配して緊張した状態になりがちです。
こころと身体に大きな変化が起こり、感情をコントロールすること自体が難しくなっているといえるでしょう。
そのため、出産前なら気にならなかったパートナーの些細な言動(たとえば「靴下の脱ぎっぱなし」など)が急に許せなくなり、イライラが爆発してしまうのです。
②夫婦のコミュニケーション不足
お互いに育児や仕事で疲弊していると、冷静な話し合いができず、気持ちがすれ違ってしまいます。
あなたがパートナーにぶつけてしまう「怒り」や「イライラ」の奥底には、実は別の感情が隠れていることがあります。
表面的な怒りのもとには、「ワンオペ育児で心細い」「もっと私を気遣ってほしい」などの寂しさや不安があることが多いです。
しかし、素直に「寂しい、助けて」と言えず、「なんでやってくれないの!」と怒りで表現してしまうため、相手にはSOSとして届きません。その結果、パートナーも「俺だって疲れている」と防衛的になり、喧嘩が泥沼化してしまうのです。
③「わたしばかり」と感じる負担の偏り
子育てが始まると、生活は一変します。とくに妻側は、24時間体制の育児と家事に追われ、自分の時間はほとんどありません。
一方で、夫側は「仕事の帰りが遅い」「飲み会に行く」など、出産前と変わらない生活を送っているようにみえることがあります。
また、夫が「言われたらやる」という指示待ちの姿勢である場合、妻は常に指示を出し続けなければなりません。
「わたしばかりが育児をしている」という不公平感が、夫婦喧嘩のきっかけになりがちです。
夫婦喧嘩が与える子どものこころへの影響
夫婦喧嘩がヒートアップしてしまったとき、心配なのは子どもへの影響ではないでしょうか。
とくに、以下のような激しい喧嘩は、子どものこころや脳にダメージを与える可能性があります。
- 人格を否定する言葉や罵倒:「あなたなんて役立たず!」「出ていけ」などの暴言
- 威圧的な態度:大声で怒鳴る、物を投げる、ドアを強く閉める
- 無視や拒絶:相手を無視し続ける、口をきかない
たとえ子どもに直接向けられたものでなくても、両親の激しい罵り合いを目撃することは、子どもにとって「マルトリートメント(心理的虐待)」となり得ます。
研究によると、子ども時代に親のDVを見聞きした経験のある大学生の脳を調べると、脳の視覚野が変形し、容積が6.1%減少していました。視覚野は視覚的な学習能力や記憶力、感情処理に影響を与える領域です。
子どもには直接関係のない夫婦喧嘩でも、DVとみなされるほど激しい言い争いだと、子どもの脳に影響する可能性があります。
一方で、すべての喧嘩が悪いわけではありません。意見が違っても冷静に話し合い、最後には仲直りする姿を見せることは、子どもにとって学びの機会にもなります。たとえば、「人と人は違って当たり前」「トラブルは対話で解決できる」という社会性を身につけられます。
大切なのは、感情に任せて相手を傷つける喧嘩を避け、建設的な対話を目指すことです。
夫婦喧嘩を乗り越えるための4つの対策
夫婦喧嘩を乗り越えるための4つの対策について解説します。
- カッとなったら冷静になるための行動をする
- 「わたし」を主語にして具体的な要望を伝える
- 家事・育児の「仕組み」を作る
- 喧嘩の後は子どもを安心させる言葉がけをする
①カッとなったら冷静になるための行動をする
「言いすぎてしまった」と後悔しないためには、怒りの感情が爆発する前に一度立ち止まることが大切です。
心拍数が上がり「怒鳴ってしまいそう」と感じたら、こころがSOSを出しているサインです。その場ですぐに反応せず、物理的に距離を取りましょう。
たとえば、「ごめん、今冷静になれないから、20分だけひとりにさせて」と伝え、別の部屋に移動したり、トイレに入ったりしてクールダウンします。
別の場所に移動して頭を冷やすことは「タイムアウト」というアンガーマネジメントの方法です。タイムアウトを取り入れることで、夫婦喧嘩への発展を防げます。
②「わたし」を主語にして具体的な要望を伝える
冷静さを取り戻したら、次は伝え方を工夫してみましょう。
相手を責める「あなた(You)」主語ではなく、以下のように自分の気持ちを伝える「わたし(I)」主語のメッセージ(Iメッセージ)を使うのが効果的です。
- NG例(相手を責める):「(あなたは)なんでスマホばかり見て手伝ってくれないの!」
- OK例(自分の気持ちを伝える):「(わたしは)今、夕食の準備と子どもの世話が重なっていて、ひとりでやるのは限界なの。15分だけでいいから、子どもと遊んでくれるとすごく助かる」
「わたしはこう感じている」「こうしてくれると助かる」と伝えることで、相手も責められていると感じずに、あなたのSOSを受け止めやすくなります。相手のことを決めつけるような言動は控えつつ、自分の気持ちを伝えましょう。
③家事・育児の「仕組み」を作る
不公平感を解消するには、言葉だけでなく「家事・育児の仕組み」を変えることが重要です。
夫が「なにをすればいいかわからない」状態なら、やるべきことを「見える化」してみましょう。
たとえば、次のような方法があります。
- 家事・育児共有アプリを活用する:「TimeTree」や「Notion」などのアプリを使い、やるべきタスクやスケジュールを共有します。言わなくてもやるべきことが伝わる環境を作ります。
- 「名もなき家事」をリストアップする:「洗剤の補充」「保育園の書類記入」など、見えにくいタスクを書き出し、負担の偏りを可視化します。
- 「交代制ひとり時間」を作る:週に数時間でも、お互いに完全に育児から離れる時間を確保します。リフレッシュすることで、相手に優しくなれる余裕が生まれます。
夫と相談しながら家事・育児の仕組みを変えることで、負担を共有することが可能になります。
④喧嘩の後は子どもを安心させる言葉がけをする
どれほど気をつけていても、子どもの前で喧嘩をしてしまうことはあるでしょう。そんなときは、次のような言葉かけをしてみてください。
- 「ごめんね」と謝る:「さっきは大きな声を出してごめんね」と、子どもを怖がらせたことを素直に謝ります。
- 「あなたのせいではない」と伝える:子どもは「自分が悪い子だからパパとママが喧嘩したんだ」と自分を責めてしまうことがあります。「パパとママの問題だから、〇〇ちゃんは悪くないよ」と言葉にして伝えてあげてください。
- 「仲直り」の姿を見せる:もっとも大切なのは、喧嘩の後に仲直りした姿を見せることです。「もう仲直りしたから大丈夫だよ」と伝え、安心させてあげましょう。
たとえ喧嘩を見せてしまったとしても、その後にしっかりとフォローすることで、子どもの不安はやわらげられます。言葉と態度で「あなたは大切にされている」という安心感を伝えてあげてください。
子育て中の夫婦喧嘩は専門家に相談を
子育て中のすれ違いは仕方ない面もありますが、喧嘩が絶えない場合、夫婦だけで解決できる段階を超えているかもしれません。
とくに、激しいイライラや落ち込みが続く場合、産後うつやPMDD(月経前不快気分障害)などの医学的な要因が隠れている可能性もあります。
「話し合うのが怖い」「修復不可能かも」と感じたら、ひとりで抱え込まず専門家の力を借りてください。カウンセリングなどの第三者を交えることで、お互いの本当の気持ちに気づき、関係を再構築できるケースも多くあります。
相談室LITERASでは、ご家族のためのオンラインカウンセリングを行っています。初回無料カウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。

